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「フィニクスフヴォースト 永久の過日を告ぐもの」感想

「フィニクスフヴォースト 永久の過日を告ぐもの」感想

【前書き】

基本的にメモであり、誰にでもわかるように書いてません。あとネタバレ普通にするので、未読の方は回れ右してください。よろしくお願いします。

【感想】

・基本的にはシリーズとおして、大変、すごく面白かったです。スワロウテイルシリーズは未読ですが、基本的には設定や世界観は無理なく構築できていたと思います。で、そういうコトをしてる人は皆無なので、そこにこの作品の価値があると思う。

・とはいえ全体を通して面白かったのは間違いないんだけど、こうしたらいいのになー、みたいなことはちょこちょこ思ったりも。ただ細かい話なんでどうでもいいっちゃいいかもしれない(あまりよく考えていない)。

・以下細かいツッコミが続くんですが、基本的に楽しく読んだという前提の上でかいているということは念頭に置いて頂きたい。楽しんで読みましたからね?(念押し)

・細かい気になる点といえば、たとえば具体的にいえば3巻の冒頭は、最初の80Pくらいより、朝霜と暁が一緒に登場するシーンから書いた方が良かったと思う。朝霜と響で1~2巻をかけて関係構築したはずなのに「響のことを何故か朝霜が忘れている」という引っ掛かりを作るシーンになっているので、ここでまず引き込んだほうが読みやすかったよね、とは思う。3巻が朝霜と響の関係性を題材にした話なので、最初のあたりが二人の前提となる関係性の説明や、1~2巻かけた世界全体の設定のおさらいなどをしていて、これは確かに必要なんだけど、それは朝霜暁を一緒にだして「!??!??!??!?!」みたいに感じさせてからでも遅くないと思う。とはいえこの辺は「創作におけるベターは何か」みたいな話でしかないので、著者の美学としてこの構成が良い!というのならそれはそれでいいのですが。ただ個人的には80Pあたりまでは「話がはじまらないな~~~……」という感じで、暁が出てきてから「おっ?」と身を乗り出す感じになったので、そのほうが良いんじゃないかなあと。

・楽しんで読みましたからね?(三度目)

・その他、3巻は世界にかかわる設定開陳が進むわけですが、暁の処遇というか処理については少し引っかかったというかこのままでオッケーなの?と気になった感じではありました。現状だと、暁は響から学園生活を聞かされて羨んでいたから、身代わりとして響を差し出しちゃった、ということだと思いますが、その動機というか根拠が「それじゃあ(響を身代わりにしても)しょうがないな……」と感じさせるものではないので、現状だと無垢なお姫様の罪を自覚したわがまま、でしかないように思います。実際には、おそらく暁にもどうしても学園生活を送りたいという強い願いがあったんでしょう。その辺の描写がもうちょっと事前になされておくと、あの暁の行動にも許容できる部分があったんじゃないかなと。そもそも暁は1~2巻を通してあまり描写の印象がつよく残っていないので、やはり今回だともうちょっとフォローが欲しかったかなあと。余談ですが似たような演出ミスを自分も一度過去にやらかしたことがあるので、この辺は編集とかのコメントを入れる立場の人間がいないと自覚するのは難しいのかもしれません。つまり作者のなかでは恐らく「暁がああいう行動を取らざるをえない必然性」があたまのなかに組み上がっていたのだけど、それが十全に読者にも共有されているかというとどうだろう、みたいな感じですね。(⇐額から血をだくだくと流しながらこの文章を書いている)

・楽しんで(略)

・朝霜やら学園の艦娘たちが響のことを忘れて、響のポジションに暁がすり替わっている、という構図自体は大変アツくて良かったと思います。えぐくて良いアイデア

・朝霜が響をたすけに行く、という行動自体は何の問題もなかったのだけど、その行動に対するリスクはもっとでかくするべきだったかもしれない、とは思いました。ただこれは好みの問題かもしれません。個人的に、キャラクターに行動の是非を問う、葛藤させる話が非常に好きなので、朝霜がもっと響を助けることが自分にとってマイナスなものでもあるとかだと良かったのかも(曖昧)。人間の感情を汲み取るのに一番手っ取り早い方法は比較させること(問いかけること)で、たとえば自分なら朝霜に対して「暁を殺せば響を助けられるけど、それでも響を助けるの?」とかそういう設問を用意するだろうなー、と読んでいて思いました。朝霜が助けにいくことそれ自体は何の問題もないんだけど、それをより輝かせるための演出の工夫があるともっと良かったかも、とかそういう感じです。ただ、現状でも色々な工夫を凝らしていることは読み取れるので、やはりこの辺はただの個人的嗜好かもしれません。とはいえ、マッマ暁と対話した際、響が目覚めたりする過程に朝霜は基本的に絡んでいないので(つまり朝霜がやってこなくても響はたぶん目覚めた)、もうちょい朝霜と響の関係を補強する一手があればなあとも思いました。朝霜響の関係でいうなら、「最後まで話を聞かない」「最後までいかないと話さない」あたりをもうちょっと上手く利用する感じ(予定?)だったのかな、という気もします。

・ここまでミクロ(人間の関係性の次元)の話ばかりでマクロ(国家や組織・世界の次元)の話を全然してないことに気がついたんですが、やはりマクロレベルの設定処理に追われて(というかそっちにより興味があったのかも)、こういう感じになったのかなーという気もしてきたので、やはり個人の趣味嗜好の話かも?とは書きながらちょっと思っています。

・とはいえマクロレベルの話でも、結局あのあとコードブルーってどうなっちゃったの? というか深海棲艦は結局残ったままというか妖精と起源が同じだから共存するぞ、みたいな感じなの? といいつつも現実的な脅威として深海棲艦は残り続けるのでは??? という若干の語り残しみたいなのは感じました(ちゃんと書いてて読み取ってないだけかもしれない)。

・各章ごとの著作引用文の最後が、パロディ元のスワロウテイルだったのはニヤリとしていいアイデアだと思いました(ああいうの好き)

・別に上で言ったことのバランス取るわけじゃないですが、文章のセンスは羨ましいなーと思うくらい。たとえば子鬼の描写とか、文章だけでもキモさが伝わってきてすごく良かったと思います。その他「あっ、これ俺は書けないわ~~~」っていう文がほんと多くて、描写がお上手で羨ましい限り。

・全体的にシリーズを通して、響以外のキャラクターを視点人物に据えることも多かったので、フィニクスフヴォースト自体が「響と暁」で閉じた世界になっていない所が良いと思います(これは以前にもTwitterで書いたこと)。これによって「世界があの二人だけのものではない」ってわかる(というかそう感じる)構成になってるのと、登場してくる漣や潮だったり、彼女にもそれぞれ物語があることがわかるので、群像劇に近い形になっているのが現状だと思います。ただ群像劇にしちゃうと物語がたためなくなるので、ギリギリの際のところで暁と響で物語を終わらせたんだろうなーと。ただ3巻が終わった現状でも実はあまり「フィニクスフヴォースト・シリーズがおわった」という感じはしないんですよね。たとえば磯風とか浜風って本筋とは一切関係ないのに出てくるから「彼らの人生はそれじゃあどうなったの?」という感じがある(著者にご挨拶した際「あと50Pたりない」とか言ってたのはそういうことなんじゃないかなという気がしますが)。なので、あのへんの子たちがどうなったんだろう? というのはまだ3巻のなかでは処理されないまま残っているのかなーと思います。なんでスピンオフとか書いたほうが世界が充実して良い作品になるんだろうなと。

・テーマ的な部分については、これはスワロウテイルからの引用・オマージュなんだろうなー、というところもあって特段なにかいうことはないかなという感じです。

・感覚的に、3巻はもっと物語が大きく広がるかなー、と思っていたので、思ったよりも小さめな物語で畳んだので、そこは少し意外でした。2巻時点で広げたポテンシャルを使いきってないようにも感じますが、著者のやりたいことが何か、という問題もあるので、そこをどうするかは非常に微妙かつ難しいところでもあります。

 

だいたいこんな感じですかね。

最初にも書きましたが基本的に非常に楽しめたシリーズでした。とくに総括することなく、終わります。何か思いついたらTwitterにも書きます。そんな感じ。